2007年09月12日

今後予想される利下げについて 9/11

今後予想される利下げについて

9月11日

森  崇


米国経済成長率予想の下方修正進む
1.全米企業エコノミスト協会(NABE)
  全米企業エコノミスト協会は10日、最新の米経済見通しを発表した。
  (骨子)
  ★2007年の実質経済成長率を2.0%と予測(5月時点予測は2.2%)。
  サブプライム問題を発端とする金融不安の影響で景気の減速が一段と鮮
  明になり、年末までに0.25%幅の利下げが2回実施されるとの見通しを
  示した。
  ★08年には2.8%に持ち直す。
  ★この予測を策定した46社の6割以上が景気の後退を米経済の最大のリス
   クに挙げている。


2.国際通貨基金(IMF)
  国際通貨基金のラト専務理事は7日、IMFの世界経済見通しが来年を中心に
  下方修正されるとの見通しを表明した。サブプライム問題をきっかけにし
  た金融市場の混乱が背景。10月の改定でどこまで引き下げるかが焦点。
  (骨子)
  ★下方修正の影響は米国に最大であり、日本や欧州に及ぶ。 
  ★07年と08年に影響を与える重大な危機だ。
  ★7月の見通しでは、米国の成長率は07年に2.0%、08年に2.8%として
   いた。


3.経済協力開発機構(OECD)
  経済協力開発機構(OECD)は5日、米国とユーロ圏の今年の経済成長率 
  見通しを引き下げた。サブプライム問題表面化に伴う金融市場混乱が背景。
  (骨子)
  ★サブプライム住宅ローン関連の損失に伴う金融市場の混乱が、世界経済
   成長見通しの下方修正につながった。
  ★2007年米成長率見通し…1.9%に引き下げた(5月時点は2.1%予想) 
  ★同ユーロ圏成長率見通し…2.6%(当初2.7%予想)
  ★同日本の成長率見通し…2.4%に据え置き
  ★同主要7カ国(G7)全体の成長率見通し…2.2%(当初2.3%予想)



FFレートは最終的にどこまで下がるか?(その試算)
投資調査会社ISI・グループのエド・ハイマン会長は、米景気拡大の減速でインフレが抑制されるなか、政策金利は恐らく4%まで引き下げられる可能性があるとした。8月末に作成されたレポートで判明。米経済は過去16年間で最悪の住宅不況に見舞われていることが背景。

  (要旨)
  ★FOMCは、毎回25ベーシスポイントずつ利下げを実施するだろう。この
   結果、米国はリセッション(景気後退)を回避できるだろう。
  ★来年については株価や米国債利回りの上昇を伴い、景気が改善する。た
   だし、インフレは抑制されるだろう。
  ★金融緩和につれ、過去の例からすると株価は上昇するとみている。



9月18日FOMC時での利下げ幅は?
以下の通り、FOMCメンバーの間でも意見が分かれている。

 (利下げ肯定派)
  アトランタ連銀のロックハート総裁が雇用の伸びが6月に鈍化し始めていた
  と発言。また、サンフランシスコ連銀のイエレン総裁も、住宅価格の下落や
  失業率の上昇は、個人消費にとって明確なリスク要因となる可能性があると
  発言。ミシュキンFRB理事も同意見である。

 (利下げ否定派)
  ダラス連銀のフィッシャー総裁は、今のところ、借り入れ条件の引き上げは
  不動産を除く経済活動全般に大きな打撃は与えていないようだ。一部の人は
  米経済の底堅さを見失っていた可能性があると発言。また、フィラデルフィ
  ア連銀のプロッサー総裁は9日、1回の統計(8月の雇用統計を指す)で、判
  断するのは性急だ。不動産不況の結果招来した流動性不足は、利下げ以外の
  方法でも対処可能だと発言。

傾向として、FRB理事に利下げ肯定派が多く、地区連銀総裁に否定派が目立つ。
否定派の根拠としては、借り入れ条件の厳格化は、不動産を除く経済活動全般に大きな打撃を与えていないと言うものである。基本的に9月5日に公表された地区連銀経済報告にその根拠を見出すことができる。要は、利下げするほど景気は悪くないし、救済利下げは、住宅産業にモラルハザードをもたらすとしている。
以下が地区連銀経済報告である。



  地区連銀経済報告(ベージュブック)の内容。同報告は8月27日までの聞き
  取り調査に基づく。
  (要旨)
  ★8月に信用市場で起こった混乱の経済全体への影響は住宅産業以外ではこ
   れまでのところ限られている。
  ★融資基準の厳格化が住宅市場に明確な影響が出る一方で、いくつかの地区
   連銀は、ほとんどの消費者と企業にとって資金調達力と格付けは良好な状
   態を保った。
  ★ほとんどの地区が住宅販売の軟化や、減少と、住宅価格の下落あるいは横
   ばいを指摘した。ただし、商業用不動産は資金調達環境がやや厳しくなっ
   たものの、全般的に安定あるいは拡大している。
  ★製造業活動についてはほとんどの地区が拡大を指摘。 
  ★自動車販売は、多くの地区で軟調あるいは抑制され、7連銀の管轄地域で
   不調だった。
  ★小売りの伸びは、全般的に良好で、緩やかあるいは小幅に伸びている。
  ★雇用は、小幅な伸びが報告された。
  ★物価については、大半の地区が全般的な価格圧力はほぼ変わっていない。


悪化する景気
ただし、各種指標は景気悪化を示している。以下は生産・在庫バランスである。目下、在庫調整が進行中だ。これが大きく下振れると、リセッションに突入(丸印で囲んだ部分)している。リセッションは、中期位相を形成する設備投資サイクルが、同時に下降に向かった時期に集中している。目下、設備投資が堅調な為、過去のリセッション入りパターンとは異なるが、これ(青線)が下降するとリスクが高まる。

balance_chart070912.jpg

以下は景気先行指数とFFレートとの相関グラフである。景気先行指数がマイナスに集中すると、利下げが始まっている。その意味で、マイナスが多くなりつつある現在、利下げの時期接近を示唆している。

FF_chart070912.jpg

以下は主要政策金利と国債利回りの相関グラフである。FFレート(藍線)と2年国債利回り(うす青線)はかなり相関度が高い。FFレートとの乖離からも、利下げの時期に差し掛かっていると言えよう。

FF_chart070912_2.jpg

以下はイールド・スプレッド(10年国債利回りサブプライム問題による景気悪化を織り込んで、債券相場が急騰する中、株式の金利に比較しての割安感が出ている。

yield_chart070912.jpg

結論
9月18日の利下げは確実であろう。利下げ幅はこれからの経済指標に依存しよう。
以下が主要ブローカー別FFレート推移予測である。

FF_chart070912_3.jpg
(出所:ブルンバーグ)
posted by mori at 09:08 | TrackBack(0) | マーケット概況 解説
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/54983000

この記事へのトラックバック