2009年07月13日

先週米国株を取り巻くブル・ベア材料 7/12

先週米国株を取り巻くブル・ベア材料

7月12日

森  崇


ブル材料
1.米供給管理協会(ISM)が6日発表した6月の非製造業総合景況指数は47(前月44)と、予想(46)を上回った。

  (主要コンポーネント内訳)
★雇用…43.4(前月39)
★新規受注…48.6(前月44.4)
★仕入れ価格…53.7(前月46.9)
★新規輸出受注…54.5(前月47)

2.ゼネラル・モーターズ(GMGMQ)
米連邦破産裁判所は5日、会社更生手続きを進めている自動車大手ゼネラル・モーターズが、資産の大半を米財務省出資の受け皿会社へ売却することを承認。これにより、オバマ政権の米自動車産業再編に向けた努力に弾みがつくこととなった。残る資産については、リストラ専門家が数年間かけて清算することになる。この裁定は、クライスラーの案件を担当し、資産の大半の売却を承認した連邦破産裁のアーサー・ゴンザレス判事の裁定にほぼ沿った内容。売却の条件は、政府が500億ドルの救済ローンと引き換えに新生GMの60%株式を取得。医療保険給付金の縮小を受け入れた従業員のファンドが17.5%、カナダ政府が11.7%を保有する。債券保有者と、担保を持たない債権者は、新生GMの株式10%と、74億ドル相当のワラントを得る。新生GMの資本合計は380億ドル余りとなる見込み。

3.クライスラー
クライスラーは5日、未定だった5人の取締役を選任したと発表。これで取締役9人全員が決まり、新経営陣が整った。 9人の取締役は、伊フィアットが3人、米政府が4人、カナダ政府と全米自動車労働組合(UAW)がそれぞれ1人を任命した。CEOはフィアットのセルジオ・マルキオンネCEOが兼務する。

4.中国関連
★中国の胡錦濤国家主席は6日、国内経済は安定したとの認識を示した。
★バンク・オブ・アメリカのメリルリンチ部門は、中国の2010年経済成長率見通しを9.6%とし、従来予想の8.3%から上方修正した。輸出の回復と投資の加速が背景。

5.シュタインブリュック独財務相はブリュッセルで6日開催される欧州連合(EU)財務相会合を前に、ドルは主導的な地位を維持するだろうとの見解を示した。

6.データ・ドメイン(DDUP)
ストレージ最大手、EMCは6日、データソリューション会社データ・ドメインに対する買収提示額を1株当たり現金33.50ドルに引き上げた。新たな買収額は同業ネットアップの提示額を上回った。新たな買収案は総額で約21億ドル。EMCは、少ないディスク容量でデータを保存できる技術を獲得できる。EMCは規制当局からデータ・ドメイン買収案への承認を得たことから、両社合併が独占禁止法に抵触する可能性が低下した。ネットアップは6月3日に提示額を株式と現金を合わせて1株当たり約30ドルに引き上げていた。

7.欧州中央銀行(ECB)のカバードボンド購入計画は、実施前から既に、同市場を再活性化させるという中銀の目標を達しているもよう。ECBは6日に初回の購入を実施する。カバードボンドと同年限の国債の利回り格差(スプレッド)はECBが最大600億ユーロ(約8兆円)相当を購入する計画を示して以来の2カ月で急激に縮小した。ECBは発行規模が1億ユーロ以上で年限3−10年のカバードボンドを購入する。カバードボンドは不動産向けや公的部門向けの融資を裏付けとした金融債。

8.欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、オーストリア中銀のノボトニー総裁は6日、資産買い取りプログラムの検証を秋季に行うことを明らかにした。

9.アメックス(AXP)
スティーフェル・ニコラウスが、同社株の投資判断を“売り”から“保有”に引き上げた。

10.スプリント・ネクステル(S)
携帯電話サービス会社株の投資判断が“保有”から“買い”に引き上げられた。オーリガUSAが引き上げた。また、目標価格を7ドルに設定した。

11.マイクロソフト(MSFT)
ソフトウエア最大手マイクロソフトは、欧州連合(EU)から競争上の問題を指摘され調査を受けている2つの案件で、EUと和解に向けた予備交渉に入っている。和解が成立した場合、インターネット閲覧ソフトと、ワードプロセッシング・ソフトおよびスプレッドシート・ソフトウエアに関する問題が決着することになる。

12.ドイツ経済技術省が7日発表した5月の独製造業新規受注指数は前月比4.4%上昇と、2007年6月以来で最大の伸びとなった。景気下げ止まりの兆候が強まった。同指数は前年同月比では29.4%低下。

13.ヘルスケア株
ヘルスケア株が上昇。ホワイトハウスと上院金融委員会が8日に病院産業との合意事項を公表する意向だと言う。健康保険大手エトナ(AET)、シグナ(CI)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が上昇した。

14.ジェンコープ(GY)
航空宇宙関連部品メーカーの同社が発表した3−5月(第2四半期)決算は、1株当たり利益が18セントと、前年同期の12セントから増加した。

15.キーコープ(KEY)
キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズは、オハイオ州の銀行2位のキーコープの投資判断を「マーケットパフォーム」から「アウトパフォーム」に引き上げた。同社の資本水準の高さが商業不動産や建設関連の損失拡大に対する緩衝材になることを理由に挙げた。

16.メトロPCSコミュニケーションズ(PCS)
UBSは携帯電話サービス会社、メトロPCSコミュニケーションズの株価下落は「行き過ぎだった」とし、同社株の投資判断を「買い」で据え置いた。

17.スター・サイエンティフィック(STSI)
毒性の低いたばこを開発する同社は、たばこに含まれるニコチンを低減するスターの特許は無効とする評決の棄却を裁判官に求めた。

18.半導体株
バンカメがインテル(INTC)、マーブル・テクノロジー(MRVL)、LSIコープ(LSI)、ナショナル・セミコンダクター(NSM)の投資判断を引き上げた。製品需要回復と、在庫整理進捗が背景。また、同業界は来年21%成長するだろうとの見通しを公表。当初見通しは14%だった。

19.国際通貨基金(IMF)は8日、世界経済見通しの改定値を発表。

  (内訳)
★来年の世界経済成長率を2.5%と4月時点の1.9%から上方修正。金融システムの安定化に加え、米国から日本に至るまで景気減速のペースが鈍化しているのが背景。
★先進国の経済成長率は今年については3.8%のマイナスが見込まれているが、来年は0.6%のプラス成長に転じる見通し。今年4月時点での予想は来年の経済成長率はゼロだった。
★今年の世界経済は1.4%のマイナス成長が見込まれており、4月時点のマイナス1.3%から下方修正された。
★世界経済はなおリセッション下にあるが、少しずつ回復に向かっている。財政や金融、信用供与政策を引き続き実行する必要がある。
★一方で、インフレ懸念を抑制し、国家財政の均衡を図るためにも経済・金融支援策の出口戦略の策定に着手するべきだ。
★今年の米GDP見通しは2.6%のマイナス成長。来年は0.8%成長が見込まれている。
★日本経済は来年の成長率予想が1.7%と、4月時点の0.5%から大幅に上方修正された。今年は6%のマイナス成長が予想されている。4月時点では同6.2%のマイナス成長が見込まれていた。日本の積極的な財政政策やアジア諸国からの需要増がマイナス成長率見通しの上方修正につながった。

20.グーグル(GOOG)
インターネット検索エンジン最大手のグーグルはパソコン用の基本ソフト(OS)を開発中と発表。マイクロソフトに挑戦する姿勢。同OS搭載の新製品は2010年下期にも発売の見通し。当初はネットブックと呼ばれる低価格の小型ノートパソコン向けに無償提供して普及を目指す。新OSは同社のウェブ閲覧ソフト「クローム」を標準搭載し、無償OS「Linux」をベースに開発するという。同社は来年のネットブックへのOS搭載に向けて複数のパソコンメーカーと協議している。

21.全米産業審議会(CB)が8日発表した米企業経営者の四半期信頼感調査によると、今年4-6月期の信頼感指数は55となり、前回調査(1-3月期)の30から大幅に改善した。信頼感指数を構成する項目をみると、景気の現状判断に関する指数は47(前回5)、向こう半年の景気見通し指数は61(前回40)と、ともに上昇した。

22.3日まで1週間の住宅ローン申請指数は493.1と、前週の444.8から11%上昇し、3月以来で最大の伸びとなった。購入指数は3カ月ぶり高水準に上昇した。住宅ローン30年物固定金利は平均で5.34%と、前週から変わらず。
 
 (その他主要指数動向)
★借り換え指数…1707.7(前週1482.2)
★購入指数…285.6(前週267.7)

23.シカゴ連邦準備銀行のエバンス総裁は8日、以下の通り発言した。

  (発言要旨)
★足元の米経済情勢について、データは一律ではないが、最近の指標は収縮ペースの鈍化と、活動の底打ちを示していると解釈している。
★今年下半期の米経済はわずかな拡大を予想、2010年は成長の基調が若干強まる。
★事実上のゼロ金利政策や国債・住宅ローン担保証券(MBS)などの購入措置について、予期せぬ衝撃や変化が生じない限り、大きく変える必要性はないとみている。

24.主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)の共同宣言草案によると、主要8カ国(G8)首脳らは、景気回復が確実になるまで景気刺激策の巻き戻しを見送り、出口戦略については各国独自の判断に委ねるとの方針を表明する。
景気回復が確実になれば、金融危機対策として特別に講じた政策の適切な出口戦略を準備する必要があるとの見解で一致した。

25.アムジェン(AMGN)
★開発中の骨粗しょう症治療薬の試験で、競合品を上回る効果が示されたと発表した。アナリストらはこれを受けて、同医薬品のピーク時の年間売上高と株価の見通しを引き上げた。
★ジェフリーズが、アムジェンの投資判断を、“買い”で据え置いた。また、株価の目標価格を、これまでの59ドルから65ドルへ上方修正した。
★オッペンハイマーが、アムジェンの投資判断を、“アウトパフォーム”で据え置いた。また、株価の目標価格を、これまでの60ドルから66ドルへ上方修正した。

26.米財務省は8日、官民合同で拠出して金融機関の不良資産を購入する措置に関し、最大300億ドルの投資を行うと発表。今年3月時点では同省は拠出規模を750億ドルから1000億ドルとしており、当初の見込みを大きく下回った。
また、投資対象資産の運用管理を担当する資産管理会社(ファンドマネジャー)の候補として名乗り出た100社以上を審査。その結果、ブラックロック、インベスコなど9社を選定した。各社は今後12週以内に最低5億ドルの資金を確保する必要がある。

27.データ・ドメイン(DDUP)
データソリューション会社データ・ドメインは8日、ストレージサービス最大手、EMCによる1株33.50ドルでの買収に合意した。

28.ファミリー・ダラー・ストアーズ(FDO)
ディスカウント・ストア・チェーンの同社は、通期の調整後1株当たり利益見通しを従来の1.90−2.00ドルから、2.03ドル−2.07ドルに引き上げたと発表した。

29.アメックス(AXP)
アメックスのCEO、ケネス・シュノー氏が、「当社は、連邦クレジット・カード業界規制法による最も影響の少ない企業である。当社の収入の8割は、カード手数料から得ており、改革の対象となる金利からの収入は少ない」と8日、CNBCで発言した。また、同氏は、米国に景気回復の芽生えが見られるとコメントした。

30.4日に終わった1週間の新規失業保険申請件数は56万5000件(前週は61万7000件)と、予想(60万3000件)を下回った。今年1月以来初めて60万台を下回った。 7月は例年自動車会社が新型車生産に向けて設備刷新のための工場閉鎖を行うことにより、失業者が増加する。今年はゼネラル・モーターズやクライスラーが経営難から、工場閉鎖を早めたため、通常なら7月以降に一時解雇される労働者が前倒しで解雇された可能性も指摘されている。

31.ゴールドマン・サックス(GS)
バンカメは9日付のリポートで、ゴールドマン・サックスの株式投資判断を「買い」とし、従来の「ニュートラル」から引き上げた。2009年4−6月(第2四半期)利益はアナリスト予想を上回るとの見通しを示した。ゴールドマンの4−6月期の利益予想を1株当たり3.90ドルと、従来の2.92ドルから上方修正。更に、ゴールドマンの09、10年の通期利益予想を引き上げるとともに、株価見通しを175ドル(従来予想は144ドル)に上方修正した。
債券と株式の引き受け、トレーディング、固定利付き商品関連業務が第2四半期利益を押し上げた。ゴールドマンは収入の大きな割合をトレーディングや値付け業務から得ている。第2四半期は株式引き受け業務が過去最高を記録することもあり得るとしている。

32.5月の卸売在庫は前月比0.8%減少(前月は1.3%減)と、予想(1.0%減)より落ち込みが少なかった。ただし、前月比マイナスは9カ月連続。5月の卸売売上高は前月比0.2%増加した。対売上高在庫比率は1.29カ月と前月の1.31カ月から低下。昨年11月以来の低水準となった。耐久財在庫は1.5%減、自動車在庫は1.1%減。非耐久財在庫は0.3%増と、増加幅は昨年7月以来の最大だった。


33.世界銀行のゼーリック総裁は9日、以下の通り発言。

  (発言要旨)
ドルは準備通貨として首位の座にとどまるだろう。ただ、米国はこれを当然のものと思ってはならず、優れた財政・金融政策を運営しなければならない。

34.米連邦準備制度理事会(FRB)のデューク理事は9日、以下の通り発言。

  (発言要旨)
★米景気は底入れしつつあるようだが、金融システムはなお弱く、公的資金援助を受けた金融機関は資金返済の適切な時期を慎重に検討する必要がある。
★経済環境は安定化しつつある、あるいは悪化の度合いがいくらか鈍化しつつあるように見受けられる。しかし経済活動は依然として低調だ。
★TARPを通じて資金援助を受けたのであれば、少なくとも景気が一段と改善するまでは、もう少しTARP資金の保有を検討したほうが良い。一度返済すると、再びTARPを利用できる可能性は低いだろう。

35.シティグループ(C)
シティグループは9日、エドワード・ケリー最高財務責任者(CFO)を副会長に指名した。ケリー氏は今後、企業戦略やM&Aについてより広範な責任を担う。シティはまた、ジョン・ガースパッチ最高会計責任者をCFOに指名した。

36.フォード・モーター(F)
フォード・モーターは急成長中の中国自動車市場で業界全体のペースを上回る販売を目指すと表明。新型「フィエスタ」の需要が強みだと述べた。

37.スターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイド(HOT)
FBRキャピタル・マーケッツが、米ホテル3位のスターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイドの株式投資判断を「アンダーパフォーム」から「マーケットパフォーム」へ引き上げた。

38.カジノ関連
BMOキャピタルが、5月のラスベガスでのギャンブル売上は、そこそこしっかりしていたとコメント。これを受け、ウィンリゾーツ(WYNN)、ボイド・ゲーミング(BYD)、ラスベガス・サンズ(LVS)等が買われた。

39.KBホーム(KBH)
住宅建設大手株の投資判断がCSFBによって引き上げられた。“中立”から“アウト・パフォーム”に。今年下半期は堅調な受注トレンドが見込まれると言う。

40.ウェスタン・ユニオン(WU)
送金事業を手掛ける世界最大手企業株の投資判断がCSFBによって引き上げられた。“中立”から“アウト・パフォーム”に。

41.ゼネラル・モーターズ(GM)
米政府が過半数株式を保有する新生ゼネラル・モーターズは10日、破たんした旧GMから優良資産を受け継ぎ、操業を開始した。連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用申請後から39日間の更正期間はクライスラー・グループよりも3日短かった。米政府のほか、労組年金基金やカナダ連邦政府、同国オンタリオ州政府、旧GMが株主となっている。ホワイトカラー従業員は20%、経営陣は35%削減されると言う。新生GMは「シボレー」と「キャデラック」、「ビュイック」、「GMC」のブランドのみで操業。自動車販売ディーラー数を3600に縮小する。「ポンティアック」ブランドは廃止し、「ハマー」と「サターン」は売却。スウェーデンの「サーブ」も売却を進めている。

42.グーグル(GOOG)
グーグルのエリック・シュミットCEOは、同社が開発中のパソコン(PC)用の基本ソフト(OS)「クローム」が数百万台のPCに搭載されるとの見通しを示した。マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」からの乗り換えが予想される
という。ただし、OS市場に参入しユーザーを獲得するのは容易ではないとするアナリストの指摘もあった。

43.ヤフー(YHOO)
トーマス・ワイゼルが、ヤフー株の投資判断を“アンダー・ウェイト”から“マーケット・ウェイト”に引き上げた。

44.5月の貿易収支統計によると、財とサービスを合わせた貿易収支は前月比9.8%減の260億ドルの赤字と、1999年11月以来の低水準にとどまった。原油や自動車部品の輸入が減少する一方で、輸出が拡大したのが寄与した。予想は300億ドルの赤字だった。前月は288億ドルの赤字(速報値は292億ドルの赤字)に修正された。

45.債券ファンド大手のパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のモハメド・エルエリアンCEOは、信用市場の復活を目指すガイトナー米財務長官とバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の努力に「A」の判定を与えた。成果についての成績は「B」。現在については、金融システムはあるべき姿に戻ってはいないものの、正常化したとした上で、経済危機はまだしばらく続くだろうとの見解を示した。

46.デル(DELL)
ゴールドマン・サックスのアナリスト、デービッド・ベイリー氏が、ハイテク株に強気コメント。景気悪化、企業によるIT投資抑制等の悪材料が蔓延しているが、最悪期は脱した。季節的に強い下半期に入っており、このトレンドは来年初めまで継続しよう。更に需要増加が、過去12ヶ月間のコスト削減により好業績につながろう。2010年から企業によるPCアップグレード・サイクルが始まるだろう。そのきっかけは、刷新投資とウィンドウズ7の市場導入であるとしている。
この中でも、デル(DELL)株を“中立”から“コンビクション・バイ”に引き上げるとともに、株価目標を14ドルから17ドルに引き上げた。企業のアップグレード・サイクルに遭遇することや、同社の営業費用削減効果を背景にしている。株価が昨年以来48%も下落して値ごろ感も出ていると言う。

47.シーゲート・テクノロジー(STX)
ゴールドマン・サックスが、シーゲート・テクノロジー株の投資判断を“中立”から“買い”に引き上げた。ハードディスク・ドライブ市場では、同社の強さが生きてくると言う。一方、ライバル、ウェスタン・デジタル(WDC)社の投資判断を“買い”から“中立”に引き下げた。


ベア材料
1.バンカメ(BAC)
クレディ・スイス・グループは6日、バンカメの2009年4−6月(第2四半期)の不良債権が前期比で10%増え76億ドルに達する可能性があるとの見方を示した。ホーム・エクイティ・ローン関連の不良債権が19億ドルとなり、クレジットカード・ローンの約10.4%が焦げ付くとの試算を提示した。第2四半期利益が1株当たり32セントになると予想。CSFBは、バンカメの投資判断を「ニュートラル」とし、期間1年の株価目標を12ドルとしている。

2.ばら積み船会社株
鉄鉱石、石炭を運搬するばら積み船の運賃が4日続落したことから、Genco Shipping & Trading Ltd. (GNK) 、DryShips Inc. (DRYS)、 Eagle Bulk Shipping Inc. (EGLE) 等の株が軒並み下落した。

3.原油、金属等商品関連株
商品市況が下落したことから、アルコア(AA)、フリーポート・マクモラン(FCX)等株式価格が急落。

4.米銀行協会(ABA)の7日の発表によると、ホームエクイティローン(住宅評価額から住宅ローン残債を差し引いた含み益を担保とした融資)の返済遅延率は2009年1−3月(第1四半期)に過去最高に上昇。ホームエクイティローンに占める遅延の割合は3.52%と、昨年10−12月(第4四半期)の3.03%から上昇した。ホームエクイティ信用枠からの借り入れの返済遅延率も1.89%と過去最高だった。返済遅延の主因は失業。

5.米調査会社レッドブック・リサーチが7日発表した週間小売りまとめによると、6月第5週(7月4日までの週)までの主要小売りチェーン売上高は、季節調整済みの既存店比較ベースで前月比4.3%減(6月第4週4.4%減)となり、業界目標の4.1%減を下回った。前年同週比は4.2%減(前週4.3%減)。百貨店は7.6%減(7.2%減)、ディスカウント店は2.4%減(2.6%減)だった。

6.ドイツ銀行は、米銀は信用損失が膨らむことに加え、規制当局が自己資本比率の要件を引き上げることによって、最大で3000億ドルの追加資本調達が必要になる可能性があるとの見方を示した。

  (要旨)
★米銀は中核的自己資本(Tier1)比率を現行の規則で十分な水準に回復させるために少なくとも1000億ドルが必要。さらに、将来的にはTier1比率の要件は総資産の10%近くまで引き上げられる可能性があるとして、この場合はさらに1000億−2000億ドルが必要になるだろう。
★2009年4−6月(第2四半期)は信用市場での圧力が続き銀行業績は引き続き弱いと予想する。
★16行の中では、ウェルズ・ファーゴの第2四半期業績が最強だろう。住宅ローン事業とトレーディングの業績が堅調とみられることに加え、バランスシートの健全性や利ざやの傾向などから同行が有利。
★一部の米銀の業績は今年7−12月(下期)と2010年の大半も赤字になろう。消費者関連の損失が予想よりも長く高水準にとどまるとみられるためだ。また、商工関連の損失も09−11年にかけて10−11%に達する可能性がある。

7.米大統領経済顧問のローラ・タイソン氏は7日、以下の通り発言。

  (要旨)
★米国はインフラ投資に焦点を絞った景気刺激策第2弾の取りまとめを検討するべきだ。2月に承認された7870億ドル規模の刺激策はやや小さ過ぎる。
★米経済の状態は、現在の刺激策策定のベースになったCEAの景気予測に比べ悪い。雇用喪失は恐らく既に、当初予測を250万人余り上回っている。
★米政府は今年度の財政赤字が国内総生産の12%相当、来年度に8−9%になると予測しているが、この予測よりも悪化する公算が大きい。
★米国がインフレ加速とドル下落によって財政赤字を切り抜けるのではないかとの懸念が出ているが、米金融当局がそのような政策を容認することはない。景気が回復した際には財政赤字を縮小させる決意を米国が伝えていく必要がある。
★米国は消費依存から脱却して投資や輸出を通じた景気拡大を促進すべきだ。輸出主導の成長を促すためには、ドルが長期的には下落する必要がある。

8.債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のファンドマネジャー、ポール・マカリー氏は7日、米経済が抱える主な問題はインフレというよりも、むしろデフレだと述べた。

9.有力投資家のマーク・ファーバー氏は7日、米ドルの価値が金や銀、プラチナなど貴金属に対して長期的には下落するとの見方を示した。政府が紙幣を増発するにつれ、ドルは下落すると述べた。

10.AIG(AIG)
米保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が43億ドル相当の株式を横領されたとして元最高経営責任者モーリス・グリーンバーグ氏の会社、スター・インタナショナル(SICO)を訴えていた裁判で、ニューヨークの連邦裁判所の陪審は7日、背任の罪にはあたらないとして、AIGの請求を棄却した。

11.サバイバル・スキルズと題した会合が、米国の超優良企業の財務担当者らを集めて5月の最終週にフィラデルフィアのパークハイアット・ホテルで開催された。IBMなど数十社の幹部らが議論したのは、2007年から08年にかけてのサブプライム住宅ローン問題の広がりと昨年9月のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破たんによる信用市場の急激な干上がりを受け、企業の関心は手元資金の蓄積と、投資適格級債券の発行を通じた債務償還期間の延長に集中している。今年1−6月(上期)の投資適格級債の発行は過去最高の3010億ドルに達した。

12.ディスカバー・フィナンシャル・サービシズ(DFS)
クレジットカード会社ディスカバー・フィナンシャル・サービシズが急落。5億ドルの新株発行計画が嫌気された。

13.バレロ・エナジー(VLO)
全米最大の製油業者バレロ・エナジーは、ガソリン価格の大幅安を材料に急落した。

14.国際通貨基金(IMF)は8日金融安定報告を発表。

  (要旨)
★世界の金融市場の環境と景気回復への自信は4月時点に比べ改善したものの、依然としてリスクがある。
★レバレッジ解消は引き続き進行中で、銀行のバランスシートは依然、今後に予想される評価損からの圧力にさらされている。信用リスクが高止まりしており、民間部門への銀行融資は減速している。
★幅広い銀行危機のリスクは後退し、想定される証券関連評価損の額は低下する公算が大きい。ただし、不良資産の問題について完全な対応策を効果的に実施するのは困難であることが大西洋の両岸で明らかになっている。銀行のバランスシート修復が景気回復の前提条件である。
★米銀については、一段の評価損の可能性は高いものの、予想よりも良好な収益と、健全性審査とそれに伴う増資の成功により、米銀への信頼は高まった。しかし、融資に対する貸し倒れ率は上昇が続くと予想される。
★欧州の銀行についても、損失の比率は高まるもの、当局による健全性審査が市場の信頼回復につながるだろう。存続可能な銀行については、適切な条件での政府からの一時的な資本注入を支持する。存続困難の銀行については、実践が可能な範囲で出来る限り迅速に解体するべきだ。

15.バンカメ(BAC)
バンカメが買収した証券大手メリルリンチについて、身売りが決まった昨年9月以降、投資銀行事業に携わる経験豊富なバンカーが少なくとも18人退職し、人材が最も価値ある資産とされる事業だけに命取りになりかねないとWSJ紙が報じた。事業統合後のバンカメ全体の利益から見ると、メリルの投資銀行部門の収入はわずかなものにすぎず、人材流出が長期的に見て大きく影響する公算は小さいと指摘。ただ、メリルが数十年かけて築き上げたウォール街有数の投資銀行の地位は、わずか数カ月で消え去ることになったとしている。

16.1998年に事実上破たんした資産運用会社ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の創業者ジョン・メリウェザー氏が、その後設立したヘッジファンドを閉鎖する計画であることが判明。メリウェザー氏が率いるJWMパートナーズの経営はここ数カ月で悪化。旗艦ファンド「レラティブ・バリュー・オポチュニティ・U」の資産は2007年9月−09年2月に44%目減りした。同ファンドが取引を開始した1999年11月30日以降の平均リターンは年1.46%だった。

17.ゴールドマン・サックス(GS)とモルガン・スタンレー(MS)
サンフォード・C・バーンスティンが、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの4−6月(第2四半期)業績見通しを下方修正した。ゴールドマンの4−6月期1株当たり利益見通しは2.92ドルと、従来予想の3ドルから引き下げられた。モルガン・スタンレーは同47セントの赤字と、これまでの13セントの赤字から修正された。先月、政府から受けた100億ドルの公的資金を返済したことから配当コストが発生したほか、信用力改善で負債の評価額引き上げにつながる為。

18.AIG(AIG)
米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はAIGの投資判断を「売り」に引き下げた。20株を1株とする株式併合が承認されたため、投資家は同社株の下落を織り込むと予想されることが理由。

19.インターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)
米先物市場2位のインターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)は下落。商品先物取引委員会(IFTC)は原油、ガスなどエネルギー商品の投機的な取引に政府規制を設ける必要性について、公聴会で討議することを明らかにした。

20.ウェブセンス(WBSN)
従業員のインターネット閲覧を監視する企業向けソフトウエアを手掛けるウェブセンスは、4−6月(第2四半期)の一部項目を除いた売上高が8420万ドルを超えないとの見通しを発表。予想(8460万ドル)を下回った。

21.ベライゾン(VZ)とAT&T(T)
サンフォード・バーンスティンが両社の2009年度通期利益予想を引き下げた。ベライゾンを2.41ドルから2.37ドル(アナリストの予想は2.50ドル)へ、AT&Tを2ドルから1.97ドル(アナリストの予想は2.06ドル)に。米国業務について、法人顧客がリセッション対策として、支出を削減するだろうとしている。信用収縮の影響で、特に米国中小企業のダメージが大きいとしている。両社ともに法人顧客からの収入は、主として固定電話から上がっている。ベライゾンの場合、固定電話収入の33%を、AT&Tは同36%を法人顧客が占める。また、本日両社株は配当落ち。ベライゾンが46セント、AT&Tが41セント。

22.調査会社レッドブック・リサーチは9日、同社の集計で6月の米主要小売りチェーン売上高が前年同月比5.1%減少(前月4.6%減少)したと発表。

  (業種別動向)
★ドラッグストア…2.2%増(同0.9%増)
★ディスカウント店…6.0%減(前月5.9%減)
★衣料店…5.8%減(同2.2%減)
★百貨店…9.1%減(同9.4%減)
★会員制量販店…6.2%減(同7.0%減)

23.スリーコム(COMS)
ネットワーク機器メーカーのスリーコムが9日寄り前発表した2009年3−5月(第4四半期)決算は株式ベースの報酬などを除いた1株当たり利益が10セントとなり、予想(5セント)を上回った。ただし、続く第1四半期の同1株当たり利益がせいぜい5セントになると言う。予想は7セントだった。世界的なリセッションのなかで法人顧客が情報技術(IT)関連支出を抑えたことが背景となった。

24.アバクロンビー・アンド・フィッチ(ANF)
若者向け衣料のアバクロンビー・アンド・フィッチが発表した6月の既存店売上高は前年同月比32%減少し、リテール・メトリックスがまとめたアナリスト予想よりも大きな落ち込みとなった。

25.メルク(MRK)
ナティクシス・ブライシュローダーのアナリスト、ジョン・ルクロワ氏は、製薬大手メルクの株式投資判断を「買い」から「ホールド」に引き下げた。

26.AIG(AIG)
資金を政府に返還したら、同社株で投資家分の価値は残っていないだろうとシティグループがコメントした。

27.エミュレックス(ELX)
ブロードコムの敵対買収のターゲットになっているが、直近の買収提示価格は安過ぎると一蹴した。

28.ファイザー(PFE)
カナダ連邦裁判所にて不利な判決が下された。血圧降下剤“Norvasc”の特許はもはやカナダでは維持できないと言う。ドイツのRatiopharm GmbHにゾロ薬販売を認可した。

29.7月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は64.6(前月70.8)と、予想(70.0)を下回った。失業率悪化と、ガソリン価格上昇を反映し、3月以来の低水準となった。今後6カ月間の先行き景況感を示す指数は60.9と、前月の69.2から低下した。低下幅は昨年10月以降で最大。現在の景況感を示す指数は70.4と、前月の73.2を下回った。この先1年間のインフレ期待値は3.0%と前月の3.1%から低下した。一方、5年先の同数値は3.1%と、前月(3.0%)から上昇した。

30.オバマ米大統領は10日、世界的な景気回復はまだ先との認識を示し、景気刺激策を巻き戻すのは時期尚早だと述べた。オバマ大統領はサミットで各国首脳に対し、さらなる景気対策の導入に柔軟な体制で臨むよう求めた。

31.ガイトナー米財務長官は10日、想定元本ベースで592兆ドル規模のデリバティブ(金融派生商品)市場を回避困難な新たな法律で規制するよう議会に求めた。長官は、各取引所や規制された取引機関に標準化された取引を強いるほか、すべてのディーラーへの規制を求めるオバマ米大統領の訴えを再度強調した。その上で、取引は新たな開示規則の対象となるとし、すべての市場参加者は比較的多めの資本準備や証拠金率の確保を求められるほか、取引の標準化も要求されると述べた。

32.シェブロン(CVX)
国際石油資本のシェブロン(CVX)は9日引け後、4-6月期の中間アップデートを発表し、石油・ガスの売り上げの伸びが非常に不利な為替相場の影響で大きく打ち消されたほか、精製部門の業績が1-3月期を大幅に下回ったとみられると発表。

33.6月の輸入物価指数は前月比で3.2%上昇。4カ月連続で上昇し、ペースも加速した。予想は2.0%の上昇だった。5月は1.4%の上昇(速報値1.3%上昇)に上方修正された。6月の石油を除く輸入物価指数は前月比0.2%上昇。一方、前年同月比では6.5%低下と記録的なマイナスとなった。

34.CITグループ(CIT)
10日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、米商業金融のCITグループの社債保証コストが昨年10月以来の高水準となった。同行の顧客は95万社。FDICが、同社の債券保証に消極的とのニュースが流れたため。

35.AIG(AIG)
AIGが、数十人の幹部に対し総額数百万ドルに上る賞与の追加支給を計画しているとワシントン・ポスト紙(電子版)が報じた。

36.IBM(IBM)
ゴールドマン・サックスがIBM株を“買い”から“中立”に引き下げた。今後はハイテクセクター内では、業界並みのパフォーマンスが予想されると言う。同社は市場全体が調整期にある時に業績の安定性が評価されるが、反発期には、むしろ高成長性にアナリストの焦点が移るため不利になるとしている。


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posted by mori at 09:56| マーケット概況 解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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